playboy-playgirl2


射精の瞬間、ぶつりとコンセントが抜かれたみたいに真っ白になる。
カイルと並んでベッドに突っ伏して、呼吸を整えながら俺は唸った。
「……す、げえ、よかった」
それは正直な感想だった。今までしてきたセックスが霞むぐらい、カイルの中は気持ち良かった。赤く長い睫毛が涙でたわむのも、色素の薄い頬が耳の後ろまで真っ赤になるのも、堪えかねて首を振る仕草も、パークハイの一番人気のチアリーダーよりもセクシーだった。

カイルは俺に背を向けて寝返りを打ち、同じように肩で息をしている。
「なあ?カイルも感じてただろ、」
女みたいに演技じゃなく、俺の手の中に何度も射精してた。そのたびに俺を取り込んだところがきゅうきゅう締まって、甘い声は俺の耳を溶かした。

肩が震えているのに気づいて覗きこめば、カイルは自分の身体を抱いてしゃくりあげていた。
「どうしたんだよ」
涙を丁寧に舌で掬ってやる。
いやいやをするように頭を振るのも可愛くて、あやすように唇にキスを落とすと、口の中でカイルが呟いた。
「かえ、って、」
「え?」

カイルは俺を押しのけると、枯れ切った声で叫んだ。
「帰れよ!」






「おまたせ」
家から出てきたウェンディはスリーブレスのドレスに毛皮をあしらったショールを纏っていた。ミントグリーンのそれは彼女の白い肌と艶やかな黒髪に映えて最高だった。
腕を差し出せば彼女の細い手が絡んできて、俺たちは身を寄せ合い、並んで歩き出す。
彼女の華奢なヒールを視界の底で眺めて俺は小さく溜息をついた。今日のパーティは近所だとはいえ、やっぱり車がないとしまらない。
「さ来週、デンバーのクラブでパーティがあるって聞いたわ」
「ああ。そのときは車を借りれないか頼んでみるよ」
コーンウェル夫人は車を三台持ってて、そのうちビンテージのマスタングを貸してくれる。俺は彼女のお気に入りだ。
アレクサンダー・コーンウェルは一学年上の生徒で、廊下ですれ違うたびに俺は吹き出しそうになる。なあ俺、お前のママと寝てるんだぜ?

「昨日、誰とセックスしたと思う?」
「驚くような相手なの?」
俺は声を潜めて、彼女の耳に囁いた。
「男なんだ」
「あら」
ウェンディは少し目を見開いたが、すぐに余裕のある表情に戻った。
「新境地ね。どうだった?」
俺は心の中で舌を打ちながら肩を竦めた。
「びっくりするぐらいよかったぜ。今まで女の子とアナルセックスを試してこなかったのを後悔してる」
ウェンディはくすくす笑うと、冗談めかして言った。
「ゴムはちゃんとしてね。妊娠はしなくても病気のリスクはあるんだから」
俺はそれに笑って応えた。
「それは心配には及ばないよ、バージンだったから」
「誰が?」
「カイルさ」
まちがいないだろ、とウインクをすると、彼女は眉をひそめた。口元には手を当てていたので、笑っているのかそうじゃないのかは俺にはわからなかった。
「そう、それは」
クールじゃないわね。そう彼女が付け加えたのと、腹に響く低いスピーカーの音が曲がり角の向こうの家から漏れ聞こえてきたのはほぼ同時だった。

ドライブウェイには何台も無造作に車が止められていて、テラスにはティーンエイジャーが溢れている。ピザとアルコールと、煙草の匂いが一ブロック先からも嗅ぎ分けられる。
セックスとドラッグとロックンロールがごちゃまぜになっている、いつものパーティだ。
俺を認めて大きく手を振るブロンドのチアガールに手を振り返しながら、俺は早速今夜のゲームの作戦を立て始めた。




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