膝の上で猫みたいに丸まるトシの髪を梳く。 鼻を啜って身じろいだ。 涙の跡と腫れた目元をなぞる。 寝顔はあどけない。子供の頃と何も変わらない。 俺はこいつのことならばみんな知っている。 俺の甘い言葉を雛鳥みたいに待ち望んでいるのを知っている。 酔ってするキスを震えながら受け止めるのを知っている。 頬を寄せる。唇を掬う。ん、と鼻にかかった声が抜けた。 苦しいと、息を詰まらせて泣くこいつを見ても、可哀想だなんて思わない。そんなふうに思うなら俺はとっくにこいつの想いに応えてやっている。こいつが俺を想って悶えて苦しむのを、俺はもっと見ていたいと思っている。もっと苦しめばいいと思っている。こいつが喘げば喘ぐほど、俺は高揚し恍惚となる。それはなにものにも変えがたい歓びだ。 もっとこの想いに絶望すればいい。 俺に狂っておかしくなればいい。 そうしたら俺はいつまでもお前に毒を、甘い言葉を吐いてやろう。 |