ミルキージャンク・4


ず、と啜り上げて顎を浮かす。
痣と涙でぐしゃぐしゃの顔に、得体の知れない何かが胸の奥からこみ上げて、俺は息苦しくなった。

こいつがバカやるのも、傷つくのも、こうしてひどい顔をしているのもみんな俺のためなんだと思ったら、罪悪感と優越感がない交ぜになったような、目の眩むような昂ぶりが俺を襲う。

「おいで」
腕を伸ばすとトシは袖で顔を拭い、のろのろと起きあがった。

腕を捕らえ、身体ごと胸に抱き込んだ。後頭部を支えて、肩口に押しつけてやる。
トシは逆らわずに顔を埋め、俺の服の脇のあたりを握る。密着する胸の弾力の向こうから、とくとくと鼓動が伝わる。

「ごめんな」
お前がどんな気持ちで剣を握ってきたかなんて、俺が一番知っているのに。
お前からお前を奪うような真似を、させてしまってごめん。

「トシは、トシのまんまでいいんだ」

「こんど、さん」
驚いたように向けられる無防備な表情に、無性にこいつが欲しいと思った。
これは同情かもしれない。さもなければとんでもない勘違いなのかもしれないけれど、それでもいい。迫り上がってくるような衝動が抑えられない。

「トシ、」
顎を捕らえると、トシはぎゅうと目を瞑った。
昨日はあれだけ大胆に誘ってきたくせに。未通女い仕草が微笑ましい。

触れるだけのキスを何回も。角度を変えて、だんだん深く口づける。
「ん、ふ」
舌を絡めて吸う。頭に響くような水音。
口の端から溢れた唾液を拭ってやるだけで感じ入るのか背中を震わせる。

「う、」
やにわに胸を叩かれた。顔をふいと反らされて、俺は訝しげに尋ねた。
「どうした、トシ」
息を荒げたトシが首を振る。
気まずそうにもじもじと揺らす腰で、鈍い俺もなんとはなしに悟った。
「ええと、」
髭を掻きながら、あーとかうーとかうなって、
「…する?」
と聞いたらトシは明後日の方向を睨んだまま、小さく頷いた。



シャツを剥げばすぐに肌が粟立つ。
乳房を持ち上げると人差し指の付け根に突起の堅い感触があった。
「ふ、」
掠っただけなのに、耐えかねて漏らす声は艶めいている。
昨日はそんな余裕がなかったけれど、改めて見ると確かにこれはトシの身体だ。
大小様々に皮膚を横断する、古傷のひとつひとつに見覚えがある。
「んま、ジロジロ見んなよ」
「ああ、悪い」
耳まで真っ赤になっている。くすりと笑う。
左の鎖骨のあたりに走る、これは確か俺を庇って付けた疵。舌を這わせると、引き結んだ唇から吐息が漏れた。

耳の後ろを丁寧にキスで埋めていると、切羽詰まった声が上がった。
「は、やく…、」
「ああ」
短く応えてベルトに手をかける。
下着ごとスラックスを足から抜くと、粘度のある液体がいやらしく糸を引く。
膝を跨がせれば、腿のあたりでびしゃと音が鳴った。湿って染みを作っていくのが布越しにわかる。
俺にこうして興奮しているのだと思うと、自身も否応なく高ぶってしまう。

そろりと指を添えると、熱を持った花弁がわななく。
「うー、んぅ」
とろけてひくつくそこは、後から後から蜜を零してやまない。
砕けてしまっている腰を支えながら、既に腹を打つほどに反り返っている自分の逸物を取りだした。
一連の動作をじっと見つめ、期待で更に内股をひきつらせたトシが、ふ、と息を吐いた。

ぬめる襞をかきわけて入り口を捉える。
「ひゃああッ」
ずぐり、と腰を突き入れると長い嬌声が上がった。

「ひ、ひぐ、ゥ」
ざわざわと絡みつく膣内を振り切るように抜き、抉る。
下から突き上げると、トシの身体が人形みたいにがくがくと揺れる。
繁みの奥でめくり上がった襞の色がちらりと覗いて、かっと血が上る。眉間に思い切り力を込めた。

「ど、さん、」
揺すり上げられながら舌っ足らずに俺を呼ぶ声に、
「トシ、」
堪らず応えて名前を呼んだら中がぎゅうと締まって、頭のてっぺんが弾けたみたいになった。





071028