空白のきみ・7



泣きじゃくる近藤の肩を抱えて、背中を撫でる。
寄り添って座り込んで、そうしてどれだけ経っただろう。

ようやく嗚咽が収まり、息を整えた近藤が深く息を吸い込み、掠れきった声でぽつりと言った。
「俺、トシに、悪いことした」
沈痛な面持ちの近藤に、自分は柄にもないと思いながらフォローを入れる。
「でもあの天人の件だって眉唾ものだし。ほんとにあんたが原因はわかんねえんじゃ」
近藤は、ううん、と首を捻って、鼻をぐずりと啜りあげた。
「でも、そんなら、なんで俺のことだけ忘れちまったんだろう」

自分からそっと身体を離し、近藤は布団の土方のほうへいざり寄る。
なあ、トシ。返事のない問いかけに、胸がいやなふうに塞ぐ。つくづく人騒がせなやつだ。自分は土方を横目で睨んだ。
「キスでもしてやれば思い出すんじゃないですかね」
そう嘯けば、
「そうか」
近藤がこともなげに返事をするのでぎょっとした。見やれば近藤が土方のふとんに覆いかぶさっている。
「ちょ、えっと、」
慌てて声をかけたが、近藤は臆面もなく、ちゅ、と音を立てて顔中にキスを振らせていく。自分は見ていられなくなって片手で顔を覆った。近藤が単細胞で嫌味なんか通じないのを失念していた。ぜんたい恥ずかしいったらない。

「う、ゥ、」
低く呻いた土方に、近藤ががばと身体を起こす。
「トシ?」
俺は耳を疑ったけれど、土方の声は確かに、意味のある言葉を紡いだ。


「んどう、さん?」





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