overflow2


放課後スタンの家の前で、じゃあ後で、と言って別れた。
今日は家に誰もいない。最近いい子にしてる僕らは、留守番を任されることが増えた。バスルームの掃除をしておくだけでお駄賃まで貰える始末だ。

自室に帰ってきた僕はベッドに鞄を放って、シャワーを浴び、トイレで念入りに準備をした。もう慣れたものだ。
シャツだけ羽織って、アンダーウェアは悩んだ末に履いて。カーテンをしっかり閉めてから、ベッドに腰かける。

枕に顔をつっぷせば、微かにスタンの匂いがする。おとつい声を殺して抱き合ったのをつぶさに思い出す。
「スタン、」
名前を呼んだら身体の中心がうずうずとしてきて、僕は腕を背中に回した。尾てい骨を撫でる様にアンダーウェアにしのばせ、そっと尻たぶに指を這わす。スタンがいつもするみたいに、アヌスの周りをゆっくりとくすぐって、中心をつつく。
「う、」
僕はたまらなくて、サイドテーブルに出しっぱなしにしてあったマーカーを手に取った。スタンにするみたいに、喉の奥までくわえる。唾液をたっぷり絡めて、下着のゴムを引っ張って露出させた入り口に、手探りで宛がう。プラスチックの無機質な感触がひだを広げていく。違和感はそこにとどまってむずむずするばかりで、僕は溜息をついた。
知ってる。こんなのじゃ全然だめなんだ。スタンがここにいないことばっかりが僕を蝕んで、切なくてどうしようもない。
ほどなく玄関のベルが鳴って、僕はマーカーを放り出した。やっとだ!


ドアを開ければ飛び込んできたスタンが、僕を勢いよく抱きしめた。ドアがスタンの背中で思いきり閉まる音。スタンの家の柔軟剤と、埃と、その下からスタンの汗の匂いをかぎ分けて、僕は思いきり吸い込んだ。
「スタン、」
待ち望んだ名前を呼べば、カイル、と、甘さを含んだスタンの声が僕の耳に落ちて、それで頭が真っ白になる。密着した布地ごしの温かさに乳首が硬くなって、痛痒いような疼きがシャツに擦れる。
スタンも遠慮なしに、ジーンズ越しに下半身をすりつけてくる。そこが僕のそれと同じように熱を持っているのが嬉しい。
僕らははやる気持ちを押さえて階段を上った。


ベッドに二人で飛び込んだらスプリングが悲鳴を上げて、顔を見合せて笑う。頬を寄せ合い、触れ合うだけのバードキッスから、ねっとりとしたものに変わるまでそう時間はかからない。

僕たちはふたりともストレートだった。そう思う。
僕だってファーストキスの相手はちゃんと女の子だし、ああでも僕はレベッカの顔すらちゃんと思いだせない。
今じゃ僕の身体はすっかり、スタンに合わせて作りかえられてしまった。そして僕はそれを誇りにすら思う。僕はスタンにしか合わない、スタンしか悦ばせられないリアルドールだ。そう思えばぞくぞくしたものが背筋を駆け上がってくる。
シャツの裾から手を這わされ、僕の喉から猫みたいな声が漏れた。乳首をつまんだりひっかいたり、されればすぐにぴんと尖る。
吸ってよ、とねだれば、スタンが僕のシャツを捲り上げた。おっぱいなんてないのに、子猫が母猫のお乳を吸ってるみたいに熱心に、周りの薄い皮膚ごと吸い上げてくる。中心は舌で転がされて、甘く噛まれる。立てられた歯に背筋が伸びる。腰をもじもじさせていたら、スタンの手がやっと僕の背中を辿って下りてきた。アンダーウェアのウエストを引っ張りながらアヌスを指が撫でる。僕が小さく息を呑むと、スタンは胸から口を離して言った。
「ここ、柔らかくなってる」
不思議そうな声音に、頭に血が上っていくのがわかった。
「自分でいじった?」
僕の顔は今、さぞや真っ赤になっていることだろう。スタンは意地悪く笑ってみせた。
「なあ、イけた?」
僕は思いきり頭を振った。
スタンじゃないとだめ、と訴えれば、スタンは目を伏せて僕に額を合わせてきた。スタンのストレートな前髪が、ぱさりと僕の頬をくすぐる。
「うん、俺も、」
声変わりの始まったばっかりの、掠れた声が僕の心臓を震わせる。
「カイルじゃないとイけない」

ぽんぽんとお尻を軽く叩かれた。いつもの合図だ。僕はスタンの身体を逆に跨いで、シックスティナインの体勢を取った。僕はスタンの下着からペニスを取り出すと、おもむろにキャンディみたいに頬張った。口いっぱいに広がるスタンの味。
芯を持って反り返った、もう子供のそれじゃない色のペニス。膨張して皮から完全に露出した亀頭を、舌全体でくるむようにして一心不乱に扱き上げる。
尿と先走りの苦くてしょっぱい味が、僕の頭を麻薬みたいに侵食していく。
僕が舌を使うにつれスタンの息が上がるのがわかって、わけもなく嬉しい。ねだるみたいにスタンの目の前で腰を振れば、スタンの手が僕のお尻をがっしりと掴んだ。
「ひゃんっ」
どろどろになった先っぽを弄り回されて悲鳴が上がる。間もなくローションをたっぷり垂らした指が、ひくひくわなないているアヌスをぬぐりとくぐってくる。
初めてインサートしたとき、スタンは以前痔を患った僕を慮ってかひどくねちっこくアヌスを広げた。中を探られて何度もイってしまって、死んじゃうかと思った。
どうせならスタンのこれを入れてイきたい。じれったくて腰を揺らす。
「早く、もぉ、入れてぇ」
「わ、かった、よ」

体勢を入れ替えられて、僕の足の間にスタンの腰が入り込む。膝の裏を持ったスタンの手は汗でべたついている。膝を胸につくぐらいに曲げさせられて、期待で腰が浮く。
張り詰めきったスタンのペニスの切っ先と、弛み切った僕のアヌスが触れ合って、粘膜がブチュっと潰れた音を立てた。
「う、」
ろくな抵抗もなく割り入ってくる、入口が広げられるぴりとした痛みは、魔法みたいに快感に塗り替えられていく。
「うあ、ああーーーっ」
「うー、っ、」
奥まで入り込むと、スタンの毛の感触が内股に触れるのがわかる。圧迫感がすごい。スタンの上ずった呻き声がセクシーで、かわいくって、今スタンがみっちりと僕の中に埋まっていると思うと、頭のてっぺんが爆発しそうになる。
「んっ、う、ンうっ、」
スタンの動きに合わせて、舌っ足らずな、まだ甲高い声が自分のものじゃないみたいに僕の鼓膜を打つ。額のあたりに、火花みたいなものが点滅する。
「い、よ、スタン、いいっ」
突き上げられながらもそう訴えれば、スタンのペニスが僕のなかでいっそう力を持つ。
「俺も、カイル、俺も、」
汗でじっとりとした肌。スタンの荒い息が耳元にかかる。僕の胸の辺りでスタンの喉仏がごくりと上下するのがわかる。スタンは今僕の中で気持ちよくなってるんだ。嬉しい。嬉しくって頭がどうにかなっちゃいそう。
身体を少しかがめてキスを強請ったけれど、涎まみれの頬が触れ合って、お互いの口を上手く合わせられない。やっと探り当てた唇を吸って、まるで動物みたいだと思った。
スタンも限界が近いのか、奥を打つリズムが早くなってくる。僕のペニスはとっくに埒を空けてしまって、二人の腹の間で撓んでいる。
「しんじゃう、スタン、んじゃう、ゥ」
空気を含んだ卑猥な水音が結合部から立ちのぼって、僕は息も絶え絶えにあえぐ。スタンのペニスが僕のいいところを擦るたびに電流が走る。



スタンが好き。スタンとここでセックスしていることが、何よりスペシャルで大事。

僕は子供だから、それより他にはなにもわかんないんだ。
僕の目がいつか覚めて、ろくでもない理由をつけてスタンと離れることを選んでしまうのならば、僕は一生大人になんかなりたくない。


end.