風呂上りにトシの部屋を訪ね、書類を作成しているトシの背中に張り付いてゲームをすること小一時間。 「終わったぞ」 そう声をかけられて俺はぱたんとDSを閉じた。 「寂しかった!だっこー」 子供みたいに両手を差し出しても、トシは顔色一つ変えず両腕を広げてくれる。正面から抱きついて、頬をすりつけた。 「好きって言ってよ」 「好きだ」 「もっと」 密着すれば、トシの規則正しい鼓動が伝わってくる。微塵も感情はぶれていないのだろう。ちくり、とこめかみが疼く。 「好きだよ、トシ」 ため息を吐くように言えば、鎖骨の辺りでトシの喉仏が膨らみ、ああ、と応える。 「ありがとな」 その声音は優しくて、俺の鼓膜にじんと染み入る。なんで礼なんか言うんだよ。俺はもどかしくてトシの身体を抱きしめ直す。 「ね」 「ん?」 身体をちょっとずらして、トシの耳元で、ねだるように呟いた。 「えっちしたくなってきた」 返事を待たずに額に口づける。瞼にキスをずらせば、トシはくすぐったそうに目を眇めた。 行為の間も、トシは殆ど声を荒げない。 「……く、」 漏らすのは吐息とかすかなうめき声だけだ。丁寧に口淫を施しても前はなかなか兆しを見せない。俺は喉の奥までトシのそれをくわえ、舌をゆっくりと使う。不器用なりに慣れてきたと思うのだけれど、反応はいまいち鈍い。 中に入り込んだ指で睾丸の裏あたりをひっかくと、やっと芯が力を持ち始めてきた。 「……も、ういいよ、入れろよ」 トシに促されて、俺は屈めていた上半身を戻した。トシの膝裏を抱えたまま、自分の陰茎を下着から取り出し、張り詰めた先端を窪みにあてがう。ぬめったそこに、蟻の這うような早さでじりじりと侵入していく。 奥まで入りきる頃には汗みずくになってしまっていた。膝を抱えた手が滑って、浴衣の裾で拭う。 「痛いか?」 へいき、とトシの唇が動く。俺だってきついのだから、こいつの体にはもっと負担がかかっているに違いない。 それでも。 中を探れば初めて、トシの口から切羽詰ったような息が漏れる。だから俺はこいつを抱く。 「ん、どうさ、」 あの日記を書いたトシの想いに、ほんの少し、掠る気がするから。もっと聞きたくて腰を揺らせば、トシの潰れたような声と自分の荒い息が、重なって耳を灼く。 俺には確信がある。 俺のことを好きだったトシはいなくなっちゃいない。こいつの奥底に沈んで眠っているだけだ。 「好きだよ、」 だから俺は、思いつく限りの、お前が望んだであろう言葉を降らそう。なんだって惜しくない。なんだって恥じることはない。 戻ってこいよ。また、昔みたいに一緒に、怒ったり笑ったりしよう。そしてあの日記に書いたみたいに、俺に想いをぶつけてくれ。今度はどんな気持ちだって取りこぼしたりしないから。 そのためなら俺は、いくらだって道化になろう。 |