大事な話があると松平邸に呼びだされた俺たちは、門をくぐるや否や絶句した。 「よう、来たな、お前ら」 そう言うとっつぁんは腕まくりをしていて、蔵の前に敷いた茣蓙に大量のがらくたを並べている真っ最中だった。 俺はげんなりして肩を落とす。 「ちょ、とっつぁん、大事な話って」 「なんでもかんでも蔵にぶっこんでたらかあちゃんに怒られちまってな。一人じゃ大変なんだよ」 自分の家の掃除に俺たちこきつかうつもりかよ!おれがつっこもうと口を開く前にトシがくるりと背を向けて、あほらし、と吐き捨てた。 「どう考えても雑用じゃねえか。わざわざ呼び出しやがって、あほか」 「俺もいちぬーけた」 総悟も踵を返してトシに並び、こちらに一瞥をくれる。 「近藤さんは手伝ってやればどうですか?」 「そうだな。どうせオフだからって遊び呆けて散財するぐらいなら、そのほうが健康的かもな。近藤さんは置いてくから使っていいぜ、とっつぁん」 えええええ。俺人身御供? 「そんなあ、トシィ、総悟ォ」 縋りつく隙も与えずに、二人はさっさと出て行ってしまった。残された俺の肩をとっつぁんがぽんと叩き、はたきを手渡してくる。 しぶしぶ作業にすけっとしたが、すっげえ埃。俺ではがらくたとゴミの区別がつかないので、ほこりをはたいて軽く雑巾で拭く係だ。 故障している電化製品や、大小さまざまの骨董品。ダイエットマシーン。マニアックすぎてついてけないエロ本。刀や旧式の火器なんかもあった。これ手入れしないと暴発とかするんじゃねえの。おっかねえ。 ゴミ袋片手に茣蓙の前で分別していたとっつぁんが、おもむろに呟いた。 「近藤ォ」 「ん」 「お前乙女座って言ってたよな、誕生日近いのか」 「え、来週だけど」 とっつぁんはサングラスの下でにやりと笑うと、俺の手になにやら風呂敷包みを握らせてきた。 「そーかそーか。これ貸してやろう」 「なにこれ」 風呂敷を広げて中のビニールを剥くと、ふかふかの毛皮のマントだった。それにくるまれてころんと落ちてきたのは王冠のおもちゃだ。 「向こうの子供向けのおもちゃなんだがな。効果は覿面だ。パーリーグッズとかでもらったものの、こんなとこに放り込んじまった」 説明書を摘んだ俺に、とっつぁんはウインクをよこした。 「おっと、使い勝手よかったらちゃんと返せよ。オジサンも誕生日もうすぐなんだから」 120904 |